スロバキアという「おもちゃ箱」の魅力とは?
東欧に旅行に行くと言えば、チェコやハンガリーといった国が浮かぶ人も多いだろう。そこで、あえてスロバキアという国を想い浮かべる人は、かなりの「ツウ」であると言える。いまいち馴染みのない国、スロバキア。首都はブラチスラバ。謎めいた旧社会主義国家の地に私は降り立った。未知なるものへの期待を込めて。
ハンガリーとオーストリアに挟まれた国・それがスロバキアである。凍りついた手を揉みながら降り立った駅で感じたのは、手造りのおもちゃ箱に積み上がる、ブリキで作られたおもちゃたちの世界にスリップしたような感覚。更に言語が複雑化し、推論すらできない象形文字に代わった。年季の入ったビルのてっぺんには、アナログの大きな時計。その横のマイナス四度の表示は、煌々と不気味な黄色のデジタル文字で、街全体を不気味に照らす。旧共産圏。知り得ないシステムを経験した社会の名残を感じさせる街。東洋人を見かけることもなかった。ホテルもまるで鉄格子のような作りで画一的である。その無機質さは、その極寒と相まって冷淡な印象を残す。だが、ホテルマンは予想以上の流暢な日本語で私を迎えるのが、なんだかくすぐったく感じたものだ。
ブラチスラバの旧市街。新市街の雑多な面影はない。古き良き時代のヨーロッパ建築の集大成は、一国の中に異国が紛れこんだようだった。教会の鐘の音を背景に、人々が教会から出てくる。観光客もまばらだ。そんな中、東洋顔の私は目立ってしまう。1人の男性が話しかけてきた。遥々遠い地からやってきた人間がよっぽど珍しかったのだろう。なぜスロバキアにきたのか?何を勉強しているのか?質問攻めは止まらない。彼のおススメのお店は、と尋ねてみると、意外にも寿司屋をおススメされたのには驚いた。
スロバキアはここ近年、ユーロに加盟。貧しさというよりは、前向きに発展している最中の国であるという印象を受けた。それと連動するかのように、人々は朗らかだ。親切な男性の語り口の優しさが、国に流れる空気を表しているかのようだった。